昨年8月、静岡のレップショーにて素晴らしい出会いがありました。
パンサーカメレオンのローカリティの中で、国内のみならず世界的に一番人気のアンビローブ、そのアンビローブの中でも蛍光レッドが全身に発色する個体は、国内でも極わずかです。
その理由はレッドの子からはレッドが産まれてくると言うわけではなく、パンサーカメレオンの発色において蛍光レッドの固定は、何代にもわたってしっかりと選択交配を繰り返さなければ固定ができないからです。偶然産まれてきても次の世代にそのカラーが受け継ぐとは限らないのです。
CANDLEが取り扱っている血統の中では以前ご紹介させていただきました「とんでもなく赤い」血統のスーパーアンビローブ、そして一部の?マニアの中では伝説となっている『CANDLEレッド』の血統が、そのクオリティに近い血統と言えるでしょう。
そんな蛍光レッドの血統のパンサーカメレオンを毎年安定してブリードさせているカリフォルニア在住の凄いブリーダーがいます。
その名はAmazing Blue Reptiles。
彼らがブリードするパンサーカメレオン、特に蛍光レッドのアンビローブと、カリフォルニアの青空のような真っ青なノシベブルーは、アメリカ国内だけではなく、世界中の愛好家に絶大な支持を得ています。
彼らのパンサーカメレオンを目の当たりにしたアメリカの愛好家が、自身のパンサーを販売する際に売り文句として「これはAmazing Blue Reptiles血統のパンサーだ。」という言葉を多用していたのは、アメリカのカメレオン市場ではちょっとした話題になりました。裏を返せばそれだけ彼らのカメレオンのクオリティが群を抜いているということです。
昨年よりずっと温めてきた計画、そんな世界的クオリティを産みだされているAmazing Blue Reptiles産のパンサーカメレオンの輸入がとうとう決定しました!!!
事の始まりは昨年のレップショー、詳しくはイベントレポートをご覧ください。
ショーが終わったあと、早速お電話をくださった際に、「日本であなた方のパンサーを紹介したい」とお願いをしました。
相手は世界的なカメレオンのブリーダー、いくらなんでも当店のような小さな小さな日本のショップなんて相手にするわけがない…そう思っていたのですが、返事は意外なものでした。
「静岡のレップショーであなたとお話をし、私たちはあなたのことがとても気に入った。」と有り余る光栄なお言葉と頂きました。
「私たちのカメレオンをあなたのところから日本の飼育者さんに紹介してほしい。カメレオンのみではなく、私たちがブリードしているすべての動物たちにおいて、日本での取り扱い代理店となってくださいませんか?」
それはあまりにも大きく、荷の勝ちすぎる、しかし心の底から喜びが湧き上がってくるのを感じる言葉でした。
静岡の会場の小さな出会いから始まったこのビッグプロジェクト。昨年末の段階で当店は正式にAmazing Blue Reptilesさんの繁殖個体を輸入、販売させて頂ける正規取扱代理店と契約させていただきました。
そこからお互いに輸入、輸出の準備を進めてきたのですが、先方さまの個人的な事情もあり、輸入がかなり遅れてしまいました(サイテスの取得にも実に4カ月もの時間が掛かりました・汗)。その間もお互いに連絡を取り合って輸入の日程の調整やサイテスの処理を行っていました。
今回の輸入プロジェクトは飼育者さまのみならず、カメレオンを取り扱っている同業者さまにも多大な朗報です。以前から考えていることですが、まだまだ世界には凄いブリーダーがたくさんいます。日本は世界に向けて、今後力を合わせて優良血統を作出し、トップブリーダーと肩を並べていけるだけの技術を持っているショップさま、愛好家さまがいらっしゃいます。
今回のプロジェクトがきっかけで、国内のパンサーカメレオンのレベルがより一層上がり、世界レベルに少しでも近づければと願っています。
世界的にトップクオリティを量産し続けるAmazing Blue Reptilesさん。その言葉の端々に、飼育やブリーディングについてのヒントがたくさん隠されていました。
本来ならば企業秘密にすべき飼育環境、温度やケージの広さ、日常の管理からスポットライトのワット数に至るまで、事細かに教えてくれました。
さらには、ここを変えるとベビーの育成率がほぼ100%にまでなったというコオロギに与えるエサの内容までも、ここは大事!という部分を惜しみなく伝えてくれました。
「あなたの大切なお客様は私たちにとっても大切な存在、私たちの飼育管理方法をあなたになら教えて差し上げます。」
その言葉に偽りはなく、カメレオン談義は尽きることはありませんでした。
Amazing Blue Reptilesさんのところでのパンサーカメレオンの生産数は年間約500~600頭、あくまでもこだわりの血統を大切に飼育することに意味があるのでこれくらいの数に抑えてある、と仰っています。しかし今後CANDLEが日本でパンサーカメレオンを紹介するのであれば、もっとたくさんの数を繁殖させることが可能だそうです。
さらに世界のトップブリーダーはパンサーのローカリティについても、大変心強いこだわりを持っておられます。
「私たちも新たなブラッドラインの導入にあたってフロリダに輸入されたパンサーを求めることがある。しかし繁殖に使用するのはオスのみ、メスは静かな環境で私たちのペットとして大切に育てています。それはメスに関しては輸入時に現地がローカリティというものを、意図せず、または故意に分けていないことが多いから。愛好家と輸出元、バイヤーの中には、産地は意識せず、美しい個体同士を交配させたいという考えを持っている方が多く、それは趣味という世界で決して悪いことではない。だからこそ、オスの産地は正しくてもメスは混ざっていると考えられる。私たちが各ローカリティとして輸入されてきたパンサーカメレオンの持ち腹のメスから採卵し、育成した結果、アンバンジャやアンキフィと呼ばれる産地のメスが多いことが長年の育成結果でわかりました。だから私たちは自分たちの血統を確実に維持するために、自家繁殖個体のみをメス親としてブリードに使用します。」
驚いたことに、ワイルドのメスの流通事情においては当店とまったく同じ考え方です。CANDLEでは現地からの情報、輸入屋さんからのヒアリング、さらには輸入されてきた持ち腹メスからの産卵分のベビーを育て、ローカリティを検証してきましたが、このお話を聞いて点と点が徐々に線となってつながっていることを実感しました(そういえば以前にも書きましたが現地シッパーはやたらアンバンやアンキフィを進めてきます)。マダガスカルでは文化が違うので、ローカリティが違って輸出されてしまうことについては誰も悪くないのですが、これからもCANDLEは現地にうるさく意見を飛ばし、正しいローカリティを輸出してくれるシッパーさんからの輸入個体をお客様にご提供させていただきます。
さらにはエサに対するこだわりも個人的に精通する部分が多数あり、CANDLEが力を注いでいるシルクワームについてもAmazing Blue Reptilesさんのホームページでは「蚕はパンサーカメレオンを育成するうえで最も理想的なエサの一つである」と記載されています。その記載を知ったのはつい最近なのですが、そういえば南国ファームの計画を話し、年中安定して桑の葉育成のシルクワームが生産可能だと言った時に「それは素晴らしい奇跡だ!!」と、非常に驚かれたことを思い出しました。先方でも桑の葉の採取が可能な時期にはできるだけシルクワームを使うようにしているということで、ここでもCANDLEの育成方針とまったく同じであることを感じました。
話は戻ってAmazing Blue Reptiles便、第一便の輸入は順調にいけば5月上旬。誰もが二度見する蛍光レッドが眩しいスーパークオリティのアンビローブ、そして全米で壮絶な人気を誇る血統のノシベブルーの輸入が決定しています。
さらにはまだまだ高価で流通量の少ないバナナスパイニーテールイグアナ、通称イエローファントムも輸入が決まっています。
『本物』の流通が少ないとも言われているイエローファントム、世界的ブリーダー様のもとでは種親はもちろんですが、最初に産まれてきたベビーたちはすべて自身で育成し、正真正銘のイエローファントムであることを確認してから販売をするという徹底ぶりです。
今回は少数のみの入荷となりますが、本物をお求めの方には朗報です。
Amazing Blue Reptilesさんとお話する中で、当社の南国ファームについても話をしています。将来的に実現できるかわかりませんが、ゆくゆくは当社と血統交換を行い、お互いにハイクオリティなパンサーたちを繁殖し、一緒にショーに出ましょうと誘ってくださいました。夢に終わらせずしっかり実現に向けて目標を高く持ち、これまで以上に気合を入れて頑張ります。
5月3日現在で、航空会社から国際線のフライト予約が完了していますと電話が入り、到着時刻もおおよそ決まりましたと連絡が来ています。
先方さんとの話し込み、サイテスの申請もクリア、あとは満を持して到着を待つのみです(あとは税関がありますが、それは到着当日行います)。
世界最高レベルのパンサーカメレオンたち。その到着まで……あと数日です。
※ 今回、先方さま撮影の画像をブログにアップしていますが、当然ながらすべての画像の使用の許可を頂いています。